2. HTCバイオコークスの利用手段
使えないものをエネルギーに:地域に根ざした資源創出
過熱蒸気式炭化(HTC)によってバイオコークス(燃料用)又はバイオ炭(土壌改良など)を生産した場合は燃料、土壌改良材、活性炭、炭素貯留など様々な用途に使えます。用途に合わせた原料の種類、質、形状によってそのカロリー(エネルギーポテンシャル)や有機農業への適用性、安全性が決まります。未利用竹や木材などの原料を使った従来の炭・コークスづくりはもちろんのこと、「今まで使えなかったものを資源にする」強みをHTCは持っています。投入する原料の総含水率を5-7割に調整すれば、事前乾燥なく仕様することができます。
例えば、牛糞を毎日10トン360日HTCでバイオコークスを生産した場合、生産したバイオ炭のエネルギー含量から年間460万ほどの売電収入が見込めます(実際には投入されるミックスの一部となりその割合に応じた買い取り価格が適用される)が、鶏糞などより高いエネルギーのバイオマスを投入すると、更に大きな電力が生み出されるため2,500万程の売電収入が見込めます。更に未利用材由来の森林に放置されていた枝葉や根、製材所で捨てられていたバーク材は2MW以下の発電設備で活用した場合には40円/kWhが適用されるため、年間6,000万以上の売電収入が見込めます。過剰な規模のプロジェクト設計を避け、地域間で採取可能なバイオマスを最大限に生かすことで、事業の経済性・環境性・地域還元性が更に高まります。
また、現在の経費・処理費のオフセットの観点からもHTCは効果的です。特に郊外の自治体や村落では小規模下水処理に莫大な設備投資が行われて来ましたが、利益回収はおろか下水汚泥の処理や埋め立てに年間数千万円(地方都市規模の一般的な埋め立て処理費)の予算が必要です。平成27年夏からは、これら下水汚泥の埋め立てが禁止になり自治体は対策に追われています。ダイオキシンの発生しない温度で効果的な無菌・無臭化、ホルモンや薬品の除去を実現した上で利益回収の可能性が生み出されるバイオコークスまで生み出すHTCプラントは現在ドイツやブラジルなど各国で注目されています。
土壌改良から炭素貯留まで
また、土壌改良材としての「バイオ炭」としての使い道も国際的な取り組みのもと進んでおり、国内では「クルベジ」と呼ばれるカーボンネガティブな農法で作られた野菜なども販売されており、地域での導入が進んでいます(クルベジに関して)
詳しくは日本バイオ炭普及会(JBA)のページをご覧下さい。